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ジャガンナータの姿の由来




いよいよ7月11日は毎年恒例のラタ・ヤトラが行われます。今までいくつかラタ・ヤトラにまつわる行事などを紹介してきましたが、今回はそのラタ・ヤトラの主役、主ジャガンナータについて紹介します。


クリシュナは絶対的で、物質自然を超越しているのですが、献身者の献身奉仕を受け取るため、石、金造、木などの姿の神像として、寺院で私たちの前に現れてくださいます。ジャガンナータはクリシュナの木製の姿です。


しかしジャガンナータはクリシュナに似ていないため、なぜジャガンナータがクリシュナなのか疑問に思う人もいるかもしれません。経典ではどうしてジャガンナータがこのような姿なのか、物語を通して教えています。


王の夢

スカンダ・プラーナという経典によると、ある日インドラディユムナという王様がニラ・マーダヴァ(ニラは青、マーダヴァはクリシュナの名前の一つ)という、クリシュナの美しい青色の神像の夢を見ました。その後、同じ神像を見つけたいと思い、家来たちにニラ・マーダヴァは見つけ出すように指示しました。

ヴィディヤパティというブラーフマナが豚たちを飼う民族が暮らす山、ニラドリ山でニラ・マーダヴァを見つけました。そこでは長い間、ヴィシュヴァヴァスという人がシンプルなお花や果物でニーラ・マーダヴァに仕えていました。インドラデュムナの願いを知っていたニラ・マーダヴァはヴィシュヴァヴァスに語りかけ、より豪華な崇拝を受け入れる決断を明かしました。これを聞き、ヴィシュヴァヴァスは大変心を痛めました。

ヴィシュヴァヴァスは自分の元からニラ・マーダヴァがいなくなってしまうのは、ヴィディヤパティのせいだと言い、彼を縄で縛り上げました。しかし娘にお願いされ、彼を解放しました。ヴィディヤパティは王国に戻り、インドラデュムナ王にニラ・マーダヴァの居場所を伝えました。

その後、インドラデュムナ王が軍隊とその場に到着すると、ニラ・マーダヴァがいなくなっていました。家来とともに村を囲み、ヴィシュヴァヴァスが神像を隠したのだと決めつけ、彼を拘束しました。

すると空からある声がこう言いました。「この豚を飼っている農民を解放し、ニラ山の上で大きな寺院を私のために建てなさい。そこで、ニラ・マーダヴァではなく、ニームの木でできた姿の私をみることができる。」

それを聞き、インドラデュムナ王は海辺で待ち、やがて大きな丸太が岸へと流れてきました。


彫刻開始

たくさんの大工たちが神像を掘ろうとしましたが、すぐに彼らの道具が壊れてしまいました。そこで老人を装った、神々の大工、ヴィシュヴァカルマが現れ、その丸太を使い神像たちを彫刻することになりました。しかし一つ条件がありました。それは21日間、誰にも邪魔されないことでした。インドラデュムナ王はその条件を受け入れ、ヴィシュヴァカルマは閉ざされた扉の後ろで彫刻を開始しました。しかし21日が立つ前、作業する音が止まり、王は好奇心から扉を開いてしまいました。するとヴィシュヴァカルマはその場にいませんでした。そしてそこには手足がなく、一見未完成に見えたジャガンナータ、バラデーヴァ、そしてスバドラの神像がいました。インドラデュムナ王は主に対する冒涜を犯してしまったのではないかと、とても不安になりました。

しかしその夜、夢の中でジャガンナータが王に語りかけ、自分の望みからあのような姿でおa現れになったのだと、そして手がなくてもお供物を捧げることができ、足がなくても動き回れることを世界に示すためだと、伝えました。


この姿で現れたもうひとつの理由

時間を巻き戻し、ドヴァーパラ・ユガに遡ります。

ある日食の時、クリシュナ、バララーマ、スバドラ、そしてドヴァーラカの他の住人たちがクルクシェートラにある神聖な湖で沐浴をしに向かいました。クリシュナがその場に行くことを知り、シュリーマティ・ラーダーラーニー、クリシュナの両親ナンダとヤショーダ、そしてヴリンダーヴァナのほかの住人たちもその場に向かいました。そしてクルクシェートラで巡礼者たちが張ったたくさんのテントの中の一つでバララーマの母親、ローヒニがドヴァーラカの妃たちにクリシュナのヴリンダーヴァナでの遊戯を語り始めました。

ドヴァラカの住人たちはアイシュヴァルヤ、つまり富裕のムードを持ち、クリシュナを至高主として崇拝しています。一方、ヴリンダーヴァナの住人たちはマドゥリヤ、甘さのムードの中におり、畏敬の念を超えた親密な関係をクリシュナと持っています。なぜなら彼らの感情は友情と愛情に基づいているからです。そのためローヒニの話はとても内密的でした。他の人たちが入ってこないよう、ローヒニはスバドラにテントの入り口で門番をさせました。

するとクリシュナとバララーマがその場を通り過ぎました。スバドラは二人が入らないよう止めたのですが、二人は外からヴリンダーヴァナで行われたクリシュナのとても内密的な遊戯を耳にし、エクスタシーに陥り、内面的な感情が外見に現れ始めました。目が大きくなり、手足が縮こまったのです。クリシュナとバララーマのこのような変化をみて、スバドラも恍惚に入り、似たような姿になりました。このようにして、ヴリンダーヴァナで繰り広げられたクリシュナの遊戯を聞き、3人は今のジャガンナータ、バラデーヴァ、そしてスバードラの姿を表したのです。

この姿を見て、聖者ナーラダは主にまたこのような姿で現れてくださるよう、祈りました。もちろん主は誰の命令や指示に従う必要もないのですが、献身者たちの望みを叶え、愛情交換を行います。そのため、クリシュナはヴィシュヴァヴァスを喜ばせるためにニラ・マーダヴァの姿で現れ、ナーラダ・ムニの望みを叶えるため、ジャガンナータの神像の姿で現れたのです。

この姿はパティタ・パヴァナ、堕落した者を救うお方として知られており、正しい意識でダルシャンをする人は精神的な解脱を与えられます。


ジャガンナータとイスコン


ジャガンナータはイスコンで最初に崇拝された神像なのです! プラブパーダがアメリカにいらっしゃった頃、マラティは寺院のためにいくつか道具などを買いにインドのお店に入ったところ、小さな神像を見つけました。とても興味深いと思ったのですが、お金がなかったため、その場でその神像を盗みました。寺院に戻り、その神像をプラブパーダに見せました。するとプラブパーダはすぐさま神像の前で平伏し、大きな笑顔をみせ、大きな幸運が訪れたとおっしゃいました。マラティとそこにいた献身者たちに、この神像はクリシュナであると説明しました。そしてマラティに他に似たような神像があったか聞きました。マラティは他にも白いのと黄色い神像があったと説明し、プラブパーダはすぐにほかの二人も連れてくるよう言いました。彼女はすぐにお店に戻り、バラデーヴァとスバードラを連れてきました。その後、彼女の夫であり、彫刻を得意にしていたシャーマスンダラがその小さな神像たちを基に、最初の大きなジャガンナータ神像を彫刻したのです。


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