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クリシュナの10の主な化身


ヒンドゥー教やインド哲学に興味を持ったり、実際にインドにいかれた方は、インドではたくさんの神様が崇拝されているという印象を受ける方もいるかと思います。実はその中にはラーマやナラシンハなど、クリシュナの化身であれば、シヴァやインドラ、ブラフマーなどの神々もいます。例えればクリシュナが王様であり、神々は大臣のような存在です。


クリシュナは無限に化身をお持ちであり、主の化身にはそれぞれ特別の使命があります。『バガヴァッド・ギーター』に書かれているように、クリシュナは「宗教が正しく実践されなくなったとき、反宗教的な風潮が世にはびこったとき、いつどこへでも現れ」るからです。


今回はそれらの化身の中でもダサアヴァターラ、10の主な化身について紹介したいと思います。


  1. マッツヤ

  2. クールマ 

  3. ヴァラハ

  4. ナラシンハ

  5. ヴァマナ

  6. パラシュラーマ

  7. ラーマ

  8. クリシュナ (&バララーマ)

  9. ブッダ

  10. カルキ 


マッツヤ

マッツヤは主の魚の姿をした化身です。あるとき深海に暮らす悪魔がヴェーダを主ブラフマーから盗みました。海で活動するのに最も適した動物は魚であるため、クリシュナは魚の姿をとってヴェーダを取り返しました。


クールマ

クールマは亀の姿をした神の化身です。神々と悪魔らがネクターを得るため、ミルクの海を攪拌している際、攪拌棒としてマンダラ山を使っていたのですが、とても大きかったため、海に沈んでしまいました。そんなとき、クリシュナは亀の姿をおとりになり、攪拌棒を下から支える土台になりました。こうして悪魔と神々たちが海の攪拌に成功しました。


ヴァラハ

ヴァラハは海に沈んでしまった地球を救い上げた猪の姿の化身です。登場の仕方もなんともユーモラスで、ブラフマーが地球が海に沈んでしまい困っていたところ、彼の鼻の穴から、親指ほどの小さい猪が飛び出したのです。その猪はすぐに体を大きくさせ、鋭い嗅覚を使って地球を見つけ出し、救い上げました。そのとき、有名なプラフラーダの父、ヒランニャカシプの兄、悪魔ヒランニャクシャが主ヴァラハを攻撃しました。二人はそこで戦いを始めましたが、主は簡単に悪魔を殺しました。


ナラシンハ

みなさんおなじみの主ナラシンハは自身の献身者のプラフラーダを守るため降誕なさった半分人間、半分ライオンの化身です。プラフラーダは主ヴァラハと戦ったヒランニャクシャの双子の兄弟、悪魔ヒランニャカシプの息子でありながら、偉大な献身者でした。そして父のヒランニャカシプはとても厳格な苦行を100年も行ったため、人間と獣には殺されない、日中にも夜中にも殺されない、家の中でも外でも殺されない、地上、海、空でも殺されない、武器や人間の手によって殺されることはないという特別な恩恵を授かっており、彼は自分が不死になったと思い上がっていました。彼は自分の息子がクリシュナの献身者であることを不快に思い、息子の考えを変えようとしましたが、うまくいかず、最終的には息子に毒を飲ませたり、崖から投げたり、何度も殺そうとしました。しかし毎回クリシュナがプラフラーダを守りました。やがて彼はプラフラーダがどこから力を手に入れているのか問いかけました。プラフラーダが自分は神様に守られていると答えると、ヒランニャカシプはもっと怒り、おまえの神様はどこだ?いまどこにいる?この柱にいるのか?と挑発しました。そして柱を叩くと、柱から恐ろしい形相のナラシンハが現れました。そして主はヒランニャカシプが受けた恩恵をひとつも破らずに、彼を殺したのでした。ナラシンハは人間でも獣でもなく、日中でも夜中でもない夕暮れ時に、中でも外でもない宮殿の敷居で、そして武器でも手でもない自分の鋭い爪を使って、地上でも海でも空でもない自分の膝下でヒランニャカシプを殺し、自身の献身者、プラフラーダを守ったのでした。


ヴァマナ

ヴァマナは小人のブラーフマナの姿をした主の化身です。あるところにバリ・マハラージャという偉大な王がおり、彼はプラフラーダ・マハラージャの孫であり、悪魔たちの王でした。彼はとても力強く、インドラさえにも打ち勝ち、天界の惑星を支配していまました。神々の両親であるアディティとカシャパが心配になり、息子たちである神々が悪魔らから守られるよう、主に祈りました。その祈りに応え、主はブラーフマナの小人の姿をとったヴァマナとして二人の子供として生まれました。ヴァマナはバリ・マハラージャが大きな儀式を行なっていると聞き、慈悲を授けに儀式の場所に訪れました。バリ・マハラージャはブラーフマナであるヴァマナを歓迎し、崇拝し、望みのものならなんでもお渡しすると、言いました。ヴァマナはそれを聞き、たった三歩分の地を求めました。バリ・マハラージャは承諾したのですが、彼のグル、スクラチャーリヤはヴァマナが神々を助けるために現れた主ヴィシュヌであり、全てを奪い取るつもりであるため、ヴァマナの要求に応えてはいけないと、説得しようとしました。しかしバリはもうすでに3歩の地を渡すと約束しているため、その約束を破ることはできないと言い、ヴァマナデーヴァに3歩の地を受け取るよう、言いました。するとヴァマナはどんどん大きくなり、最初の一歩で地球と空とあらゆる方角を覆い、2歩目で天界の惑星と残りの宇宙を覆いました。そしてヴァマナは3歩目を置くところを探しましたが、見当たりませんでした。するとバリ・マハラージャは自分の頭を下げ、「あなたがお望みであるならば、3歩目を私の頭に乗せてください。私は永遠にあなたのものです。私は自分の力に自惚れていたが、王国もすべてを失いました。しかしかわりにあなたを手に入れることができました」と言いました。ヴァマナデーヴァはこの言葉に満足し、3歩目をバリ・マハラージャの頭の上にのせ、「息子よ、私は愛する者から全てを取り去る。富や力は人を傲慢にし、私を忘れさせてしまう」と言いました。このようにして、ヴァマナ・デーヴァは神々を守りながら、バリ・マハラージャに純粋な献身奉仕を授けたのでした。


パラシュラーマ

パラシュラーマはこの世界から悪魔的な王様たちを排除するため現れた、クリシュナのクシャトリヤとしての化身です。


パラシュラーマはブラーフマナのジャマダグニとレーヌカの一番幼い息子で、とても強い戦士でした。あるとき悪魔的な王様がジャマダグニの家に訪れ、両親たちは王様を歓迎したのですが、王は彼らが持っている牛をみて、ブラーフマナではなく、王様が牛のミルクを楽しむべきだといい、牛を二人から奪いました。パラシュラーマが家に戻り、このことを知ると、とても怒り、邪悪な王を殺し牛を取り戻すと誓いました。主は実際に王を殺したのですが、父はあまりそれをよく思わず、罪滅ぼしのため、息子に聖地巡礼するよう指示しました。その間、殺された王の息子たちは復讐するため、パラシュラーマを殺そうと、ジャマダグニの家に行きました。そこにはパラシュラーマはいなく、ジャマダグニが座って瞑想を行なっていました。パラシュラーマに復讐するため、彼らはジャマダグニを矢で殺しました。巡礼から戻り、死んだ父を見たパラシュラーマはとても残念に思い、この世界の全ての邪悪なクシャトリヤたちを殺すと決心しました。まずは王の息子たちを全員殺したのですが、それでも満足せす、他のクシャトリヤの王たちも生涯になっていたので世界を21週し、すべての邪悪なクシャトリヤたちを殺しました。こうして、パラシュラーマは世界から邪悪な支配者たちを取り除いたのです。



ラーマ

主ラーマチャンドラは理想的な王としてのクリシュナの化身です。ラーマのお話はインド外でもとても有名であり、ラーマとシータのお話を物語るラーマヤーナはインドだけではなく、いろいろな国で映画やドラマになっています。ラーマはアヨーデャのダサラタ王の長男として生まれ、次期王になるはずだったのですが、ある理由で父に王国を離れるよう命じられ、理想的な息子として父親に命令に従い、森に向かいました。そしてラーマは一緒についてくことを決めた妻のシータと弟のラクシュマナと森で暮らしました。


その間、悪魔的な王、ラーヴァナによってシータが誘拐されてしまいました。ラーマとラクシュマナはハヌマーンやスグリヴァ、バリなどの猿や熊の家来の力を借り、シータを探し、長い捜索のあとハヌマーンがラーヴァナの王国でシータを見つけました。ラーヴァナはシータが自分の妻にならないと殺すと、脅したのでしたが、シータは断固として断り、朝昼夜、ラーマのことを思っていました。


ハヌマーンがシータの居場所を突き止め、もうすぐラーマが助けに来ると、シータに伝えると、ラーマとラクシュマナは猿の家来たちとラーヴァナの家来を殺しました。そして凄まじい戦いのあと、主ラーマはラーヴァナを倒し、シータを救いました。ラーマは自分の生き様を通し、理想の王、友、息子、兄弟、そして夫としての模範を示したのでした。



クリシュナ (&バララーマ


化身の一つとして描かれていますが、実はクリシュナは全ての化身の根源です。シュリーマド・バーガヴァタムの1.3.28でKrsnas Tu Bhagavan Svayamと述べられているように、クリシュナは根源の人格神であり、すべての化身や拡張体はすべて主クリシュナからきています。そしてバララーマはクリシュナの最初の拡張体であり、クリシュナの力をすべて供えており、全ての化身の源です。


そんな全ての根源であるクリシュナとバララーマはおよそ5000年前に地球上に降誕なさり、牛飼いの少年たちとして愛おしい遊戯を繰り広げ、人々の心を魅了し、惹きつけました。


クリシュナはデーヴァキとヴァスデーヴァの息子として生まれたのですが、二人は悪魔カムサに囚われていたため、ヴァスデーヴァはクリシュナをヤショーダとナンダ・マハラージャの赤ちゃんのすり替えました。それを知らず、母ヤショーダとナンダ・マハラージャはクリシュナを育てました。そしてヴァスデーヴァのもう一人の奥さんローヒニーに生まれたのがバララーマで、クリシュナとバララーマは共にヴリンダーヴァナで成長しました。二人は人格神でありながらも、小さな子供のように遊び、毎日友達とゲームをしたり、牛の面倒を見ていました。しかし同時に、たくさんの悪魔を殺し、素晴らしい力を露わにしました。


またクリシュナはアルジュナにバガヴァッド・ギーターを語り、宗教原則を再確立しました。クルクシェートラの戦いが始まる直前、戦士アルジュナは親族や教師と戦うことに戸惑い、戦意を失ったのでした。そんな中、アルジュナの御者を務めていたクリシュナはバガヴァッド・ギーターを友であるクリシュナに語ったのでした。主御自身が語ったバガヴァッド・ギーターは今でも世界中で読まれ、学ばれています。


ブッダ

ブッダはおよそ2000年前に現れ、人々に暴力を止めさせるという特別な目的のために降誕なさった化身です。


主ブッダは北インドの王の息子、シッダルタ・ガウタマとして生まれ、豪華な宮殿で最高の食事や洋服、娯楽を楽しみ、何不自由なく暮らしていました。しかしある時、世の中に興味を持ち、宮殿の外の村を訪れると、病人や貧しい人を目の当たりにしました。このような苦しみが存在することにショックを受け、苦しみを止める方法を探し求めることにしました。ガウタマは宮殿を抜け出し、破れて薄汚れたオレンジの布をまとい、精神的な教師らから学び、森で暮らしながらいろいろな厳格な苦行を行いました。しかしそれでも苦しみを終わらせる方法を見つけることができず、内側で答えを見つけるため、ガヤにある大きな木の下で深い瞑想に入りました。そこでガウタマは苦しみに影響されない、欲がない境地というものを悟り、ブッダ、悟りを得た者と呼ばれるようになりました。ブッダは北インドを旅し、教えを広めました。主な教えの一つがアヒンサー、非暴力でした。ヴェーダには動物のいけにえに関する部分があるのですが、正しく行われた場合、生贄にされた動物は若々しい体を手に入れます。しかしその頃、正しくマントラを唱えられるブラーフマナはいなく、また人々は動物の肉を食べたいがためだけに、動物の生贄を行なっていました。彼らは自分たちの食欲を満たすため、ヴェーダの経典に従っているフリだけをしていたのでした。


そんな中、可哀想な動物たちの殺害を阻止するため、主ブッダは現れ、人々にヴェーダに従わないよう指示しました。人々は宗教の名のもとえ罪な行いをしていたため、主ブッダはヴェーダではなく、自分に従うよう教えたのです。そして人々は至高主に直接従うことで、浄化されていくのでした。他の化身は人々にヴェーダや経典に従うよう教えるのですが、ブッダは経典に従わないよう教えたため、とてもユニークな化身です。



カルキ

カルキは今まで紹介した化身の中でもまだ現れていない化身です。私たちが今いるカリ・ユガという時代は43万2千年の長さで、争いと矛盾の時代とも言われています。カリ・ユガでは人間の知性が失われたり、戦争が増えたり、ものごとや状況がどんどん劣化していきます。


そんなカリ・ユガの終わりに至高人格神がカルキとして、宗教原則を救うために降誕なさいます。経典にはサンバラという村でヴィシュヌヤサの息子として現れると記されています。主は剣を片手にデーヴァダッタという素早い馬に乗り、地球中を走り、王として振る舞ってきた何万もの泥棒や盗人たちを殺していきます。そして主カルキの降誕とともにカリ・ユガが終わり、黄金の時代、サッティヤ・ユガが始まります。



どの化身の話を通してもわかるように、クリシュナはバガヴァッド・ギーターで仰っているように、献身者を守り、悪魔たちを殺し、 そして宗教原則を再構築するため、降誕なさるのです。


また重要なのは、これら化身はすべて経典に記載されているということです。時々自分は神であると名乗る愚か者がいますが、かならず経典に基づいて、その人を化身として受け入れるべきか判断する必要があります。




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